こんにちは!
今日は、土用の丑の日ですがウナギは食べましたか?
私は昨日が休診だったので、一足お先にウナギをいただいてきました!
7月の、りお歯科クリニック歯科医師ブログは、先日患者さんからあった質問を基に書いていこうかと思います。
※この、やりとりはフィクションです。
患者さん「先生!私はオールオン6がしたいんです!」
歯科医師「はい、ボーンアンカーですね。」
患者さん「いいえ!オールオン4とかオールオン6です!」
歯科医師「ボーンアンカードブリッジですよね。」
患者さん&歯科医師「???」「???」
当院は、ありがたいことに岐阜市内だけでなく岐阜県に隣接する県からも、インプラント治療をご希望される患者さんが多くお越しになられます。
「総入れ歯が合わない」「多くの歯を失ってしまった」「固定式の歯でしっかり噛みたい」と、言うようなお悩みを抱えている方にとって、インプラントによるフルマウス治療は大きな選択肢の一つだと思います。
現在、このようなケースで行われる治療法には「ボーンアンカードブリッジ(Bone Anchored Bridge)」(略してボーンアンカー)や「オールオン4(All-on-4)」「オールオン6(All-on-6)」(※「インプラントオーバーデンチャー」もありますが、また別のタイミングで書きますね!)といった術式があります。
先に書いた患者さんと歯科医師のやり取りはフィクションですが、岐阜でフルマウスのインプラント治療をご検討された事のある方なら、同じような疑問を持たれたかも知れません。
これらの治療法は似ており、違いが分かりにくいと感じる方も少なくありません。
※現に当院スタッフへ「この違いを説明して欲しい」と、言ったところ間違った答えもありました。
今回は、それぞれの治療の特徴や違い、適応、メンテナンスのポイントについて、歯科医師ブログで取り上げてみました!
1. そもそも「フルマウスインプラント治療」とは?
上顎または下顎、もしくは両方の歯をすべて失ってしまった場合、従来は「総入れ歯」によって補うのが一般的でした。
しかし、「噛めない」「安定しない」などのお悩みが常にあり、近年では複数本のインプラント体を埋入し、その上に人工歯(と、はぐき部分)を固定する方法が選ばれることが増えてきています。
この「すべての歯をインプラントで支える」治療法が、ボーンアンカードブリッジ(ボーンアンカー)やオールオン4、オールオン6といった名称になります。
2. 「オールオン4(All-on-4)」の特徴
「オールオン4」は、失った上下どちらかの顎に4本のインプラントを埋め込み、その上に連結された人工歯と人口歯茎を固定する治療方法です。
特徴:
インプラント体は前方に2本、後方に傾斜をつけて(ななめに)2本の合計4本を埋入。
骨量が少ない方でも骨造成なしで適応できるケースが多い。
治療費用を抑えやすい。
手術当日に仮歯を装着できることが多く、「即日で噛める」利点がある。
※ただし、この「即時で噛める」ことが、すべてのケースで長期的に良い結果につながるとは限りません。
インプラントが骨にしっかりと固定されていない状態(=初期固定が不十分)で無理に噛む力が、かかると、インプラント体がわずかに動揺します。
この「微小動揺」がインプラントと骨との結合(オッセオインテグレーション)を妨げ、最終的にインプラント体の脱落や、周囲骨の吸収といった問題を引き起こすことがあります。
インプラントの初期固定は、骨の質(骨密度)や埋入位置(上顎/下顎)に強く影響されます。
一般的に、下顎は骨が硬く安定しやすいのに対し、上顎は骨が柔らかく(特に前歯部)、初期固定が得られにくい場合があります。
そういった部位では、即時荷重を無理に適用すると、長期的なトラブルの原因にもなりかねないため、当院では積極的にオペ当日の仮歯装着は、おススメはしておりません。
「スピードインプラント」とか「その日に噛める」と言われると魅力的かも知れませんが、リスクがある事はご理解いただきたいです。
適している方:
多くの歯を失っている方
入れ歯に不満がある方
骨量が限られているが、骨造成は避けたい方
3. 「オールオン6(All-on-6)」の特徴
オールオン6は、基本的にはオールオン4と同じコンセプトで行う治療ですが、インプラント体を6本使用することで、より強固で安定した支持力を確保できます。
特徴:
噛み合わせの力が強い方や、骨量が十分ある方に適応されやすい。
インプラントの本数が多いため、力が分散することで安定し、トラブルのリスクをさらに減らせる。
オールオン4に比べて、長期的な安定性に優れるケースが多い。
適している方:
骨量が十分にあり、より長期的な安定性を求める方
噛む力が強い方、または食生活にこだわりがある方
4. 「ボーンアンカードブリッジ」とは?
「ボーンアンカードブリッジ」は、略して「ボーンアンカー」とも呼ばれ6本以上のインプラント体を使用して固定する、より本格的なフルアーチ治療です。
「オールオン6」もこのカテゴリーに含まれる場合がありますが、厳密には次のような違いがあります。
明確な違い:
ボーンアンカードブリッジは術式の総称であり、オールオン4や6を含む広義の概念です。
ここまで読むと「なるほど!オールオン4や6ってのは、支えるインプラント体の本数なんだ!」と、思われますよね!
これ、正しくもあり間違いでもあります。
正しいのは埋入されるインプラント体の本数が4本・6本と言うこと。
間違っているのは、オールオン4や6はノーベルバイオケア社による商標/治療コンセプトであり、商品名に近い呼び方であるという事です。
ですから、あまり知られていませんが厳密にいえばノーベルバイオケア社のインプラントを使ってなければオールオン4や6では、無いという事になります。
とは言え、ボーンアンカードブリッジ(ボーンアンカー)よりも認知度が高いので、このように説明している歯科医院さんが多いようです。
また、オールオン4や6はジルコニアも選べるのですが、お値打ちだからなのか、手軽さからか、最終補綴でも「レジン歯+金属フレーム」など軽量構造が選ばれることが多い傾向にあるようです。
車好きな男性しかピンと来ないかも知れませんがボーンアンカーとオールオン4や6を車に例えると、エンジンやタイヤが同じでも「設計思想が違う」と言った感じでしょうか。
さて、それでは特徴の説明に戻ろうかと思います。
先にも少し触れましたが、ボーンアンカーは一般的には6〜8本(多いケースだと10本)のインプラント体を使い、より強固で精密な補綴装置を作成します。
また、チタンやジルコニアなど高強度素材によるフルカスタム設計で、機能性・審美性に優れる特徴があります。
適している方:
上質な審美性や安定性を求める方
より自然な噛み心地を求める方
治療費用や治療期間に柔軟性がある方
5. 治療の選択はどうすべきか?
治療の選択は、患者様の「骨の状態」「生活スタイル」「噛む力」「審美的な要求」などに大きく左右されます。
たとえば、できるだけ短期間で手術を終えたい方はオールオン4が適している場合があります。
一方、長期的な耐久性や快適さを重視される方には、オールオン6またはボーンアンカードブリッジが適しているかもしれません。
因みに、りお歯科クリニックでは、CTによる骨の三次元診断を行ったうえで、患者様のご希望と状態に最も適した術式をご提案しております。
6. フルマウスインプラントのメンテナンス方法
絶対に忘れてはいけないのが、メンテナンスです。
一度、多くの歯を失ったわけですから、同じことが無いようにメンテナンスはしっかりと行っていただきたいです!
よく間違われるのですが固定式の人工歯だからといって、「歯みがきしなくていい」というわけではありません。
むしろ、インプラントは天然歯よりも歯周病(インプラント周囲炎)に弱いとされており、メンテナンスは非常に重要です。
ご家庭でのケア方法(ホームケア)
歯ブラシ:連結型の人工歯は、虫歯にはなりませんが着色や歯石は避けられませんので毎食後にブラッシングをしていただき、特に歯茎と人口歯茎の境目にプラークがたまりやすいため、毛先が届くような角度で優しくブラッシングしましょう。
その代わりに人工歯は連結されているため、歯の間に物が挟まるといった悩みはなくなるので、爪楊枝や歯間ブラシ、フロスを通すことはなくなります。
タフトブラシ:特に人工歯の端の部分や歯茎と、人口歯茎の境目に有効なので使っていただきたいです。
デンタルリンス(洗口液):殺菌成分の入っているものを選ぶことで、歯周病による炎症予防にも効果的ですが、口腔内が乾燥しやすくなるのでアルコールが入っていないタイプの物を選ばれると良いでしょう。
ウォーターピック(口腔洗浄器):補綴物の下に食べカスが残りやすいため、ジェット水流で洗い流すのも効果的です。
値段はピンキリなので…色々試してもらうと良いかも知れません。
歯科医院でのケア(プロケア)
一般的には3~6か月ごとのメンテナンスを推奨される事が多いと思いますが、歯科医師の立場から言わせてもらえれば、今までの生活習慣で多くの歯を失っている事から、少なくともホームケア・プロケアの両方が習慣化されるまでは、毎月ケアに通っていただき口腔内の環境を良くしていただきたいと考えています。
インプラント周囲の炎症チェックやレントゲン診査、インプラント専用のパウダーを用いた清掃や、超音波スケーリングを行い、ネジの緩みや補綴物の破損がないかも確認してもらいましょう。
7. 岐阜でインプラント治療をお考えの方へ
岐阜市北島にあるりお歯科クリニックでは、オールオン4・オールオン6を含むフルマウスインプラント治療に対応しております。
CT設備はもちろんですが、各種検査機器(口腔内細菌量チェッカーや咀嚼機能検査キットなど)も完備して皆さんの「噛める生活」をサポートさせていただいております。
インプラント治療に関しましては院長が担当し、患者様一人ひとりの状態に合わせた最適なプランをご提案いたします。
「治療の内容や費用を詳しく知りたい」「他院で断られたけど相談だけでもしてみたい」そんな方は、ぜひ一度カウンセリングにお越しください。
それでは!来月もお楽しみに!
岐阜市の歯科医院 りお歯科クリニック 歯科医師ブログでした!