岐阜市の歯科・歯医者・インプラント|りお歯科クリニック

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【岐阜市の歯医者が解説】もう二度とむし歯にならないためのホームケア方法

こんにちは。
岐阜市の歯医者「りお歯科クリニック」9月の歯科医師ブログです。

スタッフで、毎日3回の歯みがきと、フロスもしていたのに虫歯になった人がいたので、今回は改めて虫歯についてブログにしてみました!
「もう二度とむし歯にならないためのホームケア方法」について、歯科医師の立場から学術的エビデンスを交えながら詳しく解説します。
むし歯は「歯磨き不足」だけでなく、食習慣・フッ素の利用・歯科医院での定期健診など複数の要素が関わります。
正しい知識を持ち、毎日の生活に取り入れることで「むし歯ゼロの未来」を目指すことができます。
最初に書いておきますが、今回力を入れすぎてかなり長文になってしまいました(笑)

むし歯ができるメカニズムと唾液の役割

むし歯は「カイスの輪」と呼ばれる考え方で説明されます。
これは、

  1. 歯の強さや唾液の状態(宿主)
  2. むし歯菌(細菌)
  3. 糖質(特に砂糖)
  4. これらが作用する時間
    の4つが重なったときに発生するというものです。

カイスの輪
たとえば、甘いお菓子をだらだら食べ続けると、菌にエサを与え続けることになり、歯の表面が酸にさらされる時間も長くなります。
逆に、同じお菓子を食べてもすぐに歯を磨いたり、フッ素で歯を強くしたり、唾液をしっかり働かせたりできれば、むし歯になる条件を崩すことができます。
つまり、むし歯は「運命」ではなく、生活習慣で大きくコントロールできる病気なのです。
むし歯は、プラーク(歯垢)に潜む細菌が糖を代謝し、酸を作り出すことから始まります。
酸が歯の表面(エナメル質)を溶かす現象を「脱灰」と呼びます。
一方で、唾液には歯を修復する力があり、カルシウムやリン酸を歯に再び取り込む「再石灰化」が常に起きています。
つまり、むし歯は「脱灰と再石灰化のバランスが崩れたとき」に発生します。

  • 砂糖をだらだら摂取する
  • 酸性飲料を頻繁に飲む
  • 唾液の量が少ない

こうした条件が重なると、再石灰化が追いつかずむし歯が進んでしまうのです。

ホームケアの正しい順番

では、むし歯ができないようにするためには何が必要なのでしょうか?
お気づきかと思いますが、毎日のケアが一番大切です。
そして、ケアには「正しい順番」があります。ここでは歯科医師としておすすめするホームケアの流れをご紹介します。

1.キシリトールを活用

キシリトールガムやタブレットを活用しましょう。
キシリトールは砂糖の代わりになる甘味料ですが、むし歯菌はこれを利用できず、酸を作れません。
さらに、噛むことで唾液分泌が促進されるため、再石灰化が進みやすくなります。
食後に5分以上ガムを噛むと効果的と言われていますが、注意点としては「キシリトール100%」の製品を選ぶことが大切です。
子どもから高齢者まで安全に使えるのもメリットです。

2.デンタルフロス・歯間ブラシで歯と歯の間を清掃

歯ブラシだけでは、実は全体の約60%程度の歯垢しか取り除けないと報告されています。
特に歯と歯の間(隣接面)は歯ブラシの毛先が届きにくく、むし歯や歯周病のリスクが高い場所です。
そのため、歯ブラシの前にフロスを使うのがおすすめです。
先に歯間をきれいにしておくと、その後のブラッシングでフッ素入り歯磨剤が歯と歯の間まで届きやすくなります。
奥歯は特にむし歯になりやすいので、フロスを「のこぎりのように前後に動かしながら」優しく挿入しましょう。
歯周ポケットが深い人や歯と歯の隙間が広い人は、歯間ブラシを併用すると効果的です。

3.フッ素入り歯磨剤でブラッシング

次に、フッ素入り歯磨剤(成人ならフッ素濃度1450ppm)を使って丁寧にブラッシングします。
フッ素は歯の再石灰化を促進し、むし歯菌が作る酸に強い歯を作ってくれるため、現代の予防歯科には欠かせません。
ブラッシング方法としては、歯と歯ぐきの境目に歯ブラシを45度の角度で当て、小刻みに動かす「バス法」がおすすめです。
歯垢は「面」ではなく「境目」にたまりやすいからです。
1本1本の歯を意識して動かすと、磨き残しが減ります。
特に就寝前は唾液が減るため、丁寧に磨くことが重要です。

4.フッ素を口に残す

歯磨きの後に強いうがいをしてしまうと、せっかくのフッ素が流れ落ちてしまいます。
そのため、「うがいはコップ半分の水で1回だけ」がおすすめです。
これは「スウェーデンスタイル」とも呼ばれる方法で、世界的にエビデンスのあるむし歯予防法です。
※驚く事にうがいせずに泡を吐き出すだけという方法もあるそうです!
フッ素を残すためにも歯磨き後に飲食をしないのもポイントになるため30分~2時間は飲食を控えましょう!

5.フッ素ジェルや洗口液を追加

むし歯リスクが高い方には、フッ素濃度の高いジェルやフッ素入り洗口液を追加することをおすすめします。
※歯磨剤のフッ素を洗い流してしまわないように歯みがきの直後は避けて、就寝前などに使用してください。
矯正治療中の方(ブラケット周囲に汚れが溜まりやすい)、ドライマウスの方(唾液が少なく再石灰化しにくい)、むし歯経験が多い方(再発リスクが高い)、こうした方は、歯科専売品(最近はドラッグストアやハンズでも買えます)とされている高濃度フッ素(例:1450ppm以上)洗口液や、夜間のフッ素ジェル塗布を習慣にすると予防効果が格段に上がります。

この「キシリトール→フロス → ブラッシング → 超軽いうがい → フッ素追加」という流れを習慣にすることで、むし歯リスクは大幅に減少します。
むし歯予防方法
特に、「フロスを先に使うこと」「フッ素を口に残すこと」はすぐに実践できる効果的な方法です。

キシリトールとフッ素によるむし歯予防

むし歯予防には、毎日のホームケアが欠かせません。
その中でも、キシリトールとフッ素は科学的に効果が確認されている重要な成分です。
正しい順番で取り入れることで、より高い予防効果が期待できます。

キシリトールの効果と使い方

キシリトールは砂糖の代替甘味料で、ミュータンス菌などのむし歯菌が代謝できないため、酸を作り出せず、歯の脱灰を抑える効果があります。
さらに、噛むことで唾液分泌が促進され、口腔内のpHが中性に保たれるため、歯の再石灰化が進みやすくなります。
複数の無作為化比較試験やメタアナリシスで、食後にキシリトールを使用するとむし歯の発生率が有意に低下することが報告されています。
効果を最大化するには、キシリトール100%製品を使用して、食後に5分以上ガムを噛む、またはタブレットを摂取することが推奨されます。
このようにキシリトールを先に使用することで、口腔内の環境が整い、その後の歯磨きやフッ素使用の効果も高めることができます。
また、外出先などで飲食後に歯みがきができないという場合にも役立つのでバッグに入れておきたいですね!

フッ素の効果と使い方

フッ素入り歯磨剤やフッ素ジェルは、むし歯予防のゴールドスタンダードとして、世界保健機関(WHO)や日本小児歯科学会でも毎日の使用が推奨されています
フッ素は、歯の表面に取り込まれると酸に強いフルオロアパタイトに変化し、脱灰に対する抵抗力を高めます。
また、初期むし歯の再石灰化を促進する作用もあり、むし歯の進行を抑制する効果が科学的に証明されています。
歯磨き後に軽くうがいを行った後、少し時間を空けてフッ素ジェルや洗口液を使用すると、フッ素が歯に長く留まり、再石灰化をさらに促進できます。
特に就寝前に使用すると、唾液分泌が少ない時間帯でもフッ素の効果が持続しやすくなります。
このように、まずキシリトールで唾液分泌を促して口腔内環境を整え、次にフッ素で歯質を強化・再石灰化を促すことで、むし歯リスクを大幅に減らすことができます。
両方の成分はそれぞれ異なる作用で歯を守るため、併用することで相乗効果が期待できるのです。
歯科医院での定期健診

歯科医院での定期健診の重要性

どれだけ丁寧にホームケアをしても、限界があります。
特に見逃されやすいのが 「かぶせ物や詰め物の下で進行するむし歯」 です。
今回、当院スタッフがむし歯になっていたのは「銀歯の下」でした。
これは外から見えにくく、痛みも出にくいため、気づいたときには進行していることが多いのですが、定期健診では以下の事が可能です。

  • レントゲンや歯科医師のチェックで「隠れむし歯」を早期発見
  • プロによるクリーニングで歯石やバイオフィルムを除去
  • 個人に合わせた歯磨き指導
  • むし歯だけでなく歯周病のチェック

定期的に歯科医院を受診することは「むし歯を早期に発見して歯を失わないための保険」といえるでしょう。

銀歯の下の二次齲蝕

とは言え、銀歯の下で進行する虫歯は防ぐ事が非常に!非常に!非常に!困難です。
理由や詳細についてはまた後日ブログで書いてみようと思いますので、今回は簡潔にまとめてみます。
①適合性・接着性の限界:
一般的に銀歯を作るためには4回(印象採得・石膏・ワックスアップ・鋳造)の型をとるため適合には限界があります。
また、接着剤もセメント(リン酸亜鉛セメントなど)を使用しなくてはならないのですが、セラミックの被せ物などで使用するレジンセメントと比べると接着力や耐久性では劣ると言われています。
②隙間・マイクロリーケージ:
金属は歯と比べて熱による膨張・収縮が大きいため、熱い物や冷たい物を飲食するたびに境目でわずかな動きが生じ、隙間が生まれます。
歯と修復物の間を細菌や液体が通り抜ける現象をマイクロリーケージといい二次齲蝕の原因とされています。
③歯と金属の硬さの違い:
②とも近いかも知れませんが歯は少しずつすり減ります。
その硬さが金属と異なるため、隙間が生じやすいことも原因とされています。

よく、「保険でいいのに自費の被せ物を勧められた!」と、おっしゃられる事があるのですが、このように二次齲蝕の可能性が(セラミックの被せ物などの自費診療と比べて)、保険の銀歯の方が高いのですから、治療を担当する歯科医師としては、自費の被せ物を勧めたくなる気持ちも少し理解してもらえると嬉しいです。
セラミック

食習慣とむし歯リスク

最後に、ホームケアと並んで重要なのが「食習慣」です。
世界保健機関(WHO)は、砂糖の摂取量を総摂取カロリーの10%未満(理想は5%未満)に抑えることを推奨しています。

むし歯リスクが高まる食習慣

  • 甘いものをだらだら食べる
  • ジュースやスポーツドリンクをちびちび飲む
  • 夜食後に歯を磨かずに寝る

これらの習慣は「脱灰の時間」を長引かせるため、むし歯リスクが急上昇します。

改善の工夫

  • 飲料は食事と一緒に摂取する
  • ストローを使って歯への接触を減らす
  • 甘味を摂ったら水やお茶で口をすすぐ

まとめ むし歯ゼロの未来へ

むし歯を二度と作らないためには、

  • 正しいホームケアの順番(キシリトール→フロス→ブラッシング→フッ素)
  • キシリトールやフッ素の活用
  • 砂糖を減らしたバランスの取れた食習慣
  • 歯科医院での定期健診と早期発見

この4つの柱が欠かせません。

毎日のセルフケアを続けながら、歯科医院でのチェックを組み合わせることで、むし歯ゼロの口腔環境をつくっていきたいものです。
岐阜市で予防歯科や定期健診をご希望の方は、ぜひ当院「りお歯科クリニック」にご相談ください。