8月 りお歯科クリニック 歯科医師ブログ
暑い日が続いておりますが、熱中症など大丈夫でしょうか?
先日、塩飴なるものを見かけて買ってみようかと裏を見ると…成分の一番先頭に(※先頭に来るほど含有比率が高い)、糖類(果糖・ぶどう糖・ショ糖・麦芽糖など)と表示されていました。
それではと、熱中症対策飲料を手に取りましたがこちらも同じような状態でした。
糖類は虫歯の原因菌の餌になるため避けたいが…熱中症対策もしたい…
結局、お水だけ買ってコンビニを出る事にしました。
虫歯菌の餌にならなければ試してみたかったなぁ…という事で、今回は岐阜市で虫歯治療や予防をお考えの方にも役立つ「虫歯菌」や「口腔内細菌」のお話をしていこうかと思います!
知っておきたい口腔内フローラの話:虫歯・歯周病予防から全身健康まで
「腸内フローラ」という言葉は皆さんもお聞き及びかと思いますが、実はその入り口である口にも「口腔内フローラ」というものがあるのです!!
口の中には数百種類もの微生物が共存し、互いに影響し合いながら独自の生態系(口腔内フローラ)を築いています。
最近の研究では、口腔内フローラのバランスが崩れることが糖尿病や心血管疾患、さらには認知症などの全身疾患とも関連する可能性が示されています。
口腔内のフローラを健康に保つことは、虫歯や歯周病の予防だけでなく、全身の健康維持にもつながると考えられています。
今回は歯科医師の視点から、最新の研究で得られた事を交えつつ口腔内フローラと虫歯・歯周病について書いていこうかと思います。
そして、来月のブログでは全身疾患への影響をわかりやすく解説し、最後に実生活で役立つ口腔ケアのポイントを紹介しますのでご期待ください。
口腔内フローラとは?
口腔内フローラとは、歯や粘膜に棲みつく細菌や真菌などの微生物集団のことで、口腔内に共生しています。
口腔内フローラは歯の表面や歯茎に形成される粘着性のバイオフィルム(微生物の集合体)として存在し、正常な状態では有益な菌が口内環境の安定化に寄与します。
実際、口腔内フローラがバランスを保っているときには、有害菌の増殖が抑えられ、虫歯や歯周病などの口腔疾患を防ぐ働きをします。
逆に生活習慣が悪い(糖の多い食事や歯磨きをしない・フロスをしないなど)とフローラのバランスが崩れやすく、病原菌が増殖してしまいます。
研究でも、適切な口腔ケアや健康的な食生活でフローラのバランスを整えれば、口腔内環境を健全に維持できると報告されています。
虫歯・歯周病予防と口腔内フローラ
口腔内フローラのバランスが崩れ、細菌が優位になる状態(ディスバイオシス)になると虫歯や歯周病が進行しやすくなります。
歯の表面に形成されるプラーク(歯垢)は、粘着性の被膜(バイオフィルム)を有し、歯茎に炎症を引き起こすとともに、虫歯菌の定着を促進します。
この粘着性の膜(バイオフィルム)を毎日の歯磨きやフロスでしっかり取り除くことが、虫歯・歯周病予防の基本ですが、一度できてしまったプラークやバイオフィルムは、歯みがきやフロス、ましてや口腔洗浄液では除去できません。
そのため、岐阜市の歯医者で行う定期的なケアでしっかりと除去していく事が効果的とされています。

プラークやバイオフィルムが歯肉に炎症を引き起こし、やがて歯槽骨の吸収につながります。
虫歯菌「ミュータンス菌」
ミュータンス菌(S.mutans)は虫歯菌として代表的な存在です。
ミュータンス菌は口腔内の糖を代謝して大量の酸を産生し、歯のエナメル質を溶かして虫歯を作ります。
また、細胞外多糖(グルカン)を合成してバイオフィルム内に他の菌を引き込み、虫歯環境を悪化させます。
こうした虫歯菌を含むプラークを放置しないことが大切です。
歯周病菌「P.gingivalis」
歯周病の主な原因菌はP.gingivalis(ポルフィロモナス・ジンジバリス、いわゆるジンジバリス菌)です。
この菌が歯茎に付着すると炎症が引き起こされ、歯を支える骨や歯茎が破壊されます。
P.gingivalisは近年「キーストン病原体」と呼ばれ、口腔内のディスバイオシスを引き起こす中心的な細菌として注目されています。
歯周病菌が増えると局所だけでなく全身の炎症反応も高まり、血管内に炎症性物質が流出します。
その結果、インスリン抵抗性が増大して糖尿病のリスクが上がったり、動脈硬化が進んで心疾患のリスクが高まることが報告されています。
つまり、口腔内フローラの健全さを守ることが虫歯・歯周病予防に直結し、ひいては糖尿病や心血管疾患の予防にもつながるのです。
研究者の視点から
実は、りお歯科クリニックに在籍する歯科医師の中に大学でP.gingivalis(ジンジバリス菌)について研究している先生が在籍しており、今回は話を伺いました。
P.gingivalisは、人に定着するため「線毛」と呼ばれる器官をもっているそうで、この線毛がどのように形成されているか、また線毛の種類によって病原性に違いがあるのかをテーマに研究されているそうです。
お話を聞いてとても面白かったのですが、ボリュームが増えすぎてしまったため2回に分けさせてもらいました。
まとめ
岐阜市で虫歯治療や歯周病予防をお考えの方は、りお歯科クリニック一般歯科ページもぜひご覧ください。
次回も、りお歯科クリニック歯科医師ブログをお楽しみに!