こんにちは、りお歯科クリニック歯科医師ブログです。
年末年始はいかがお過ごしでしたか?
私を含め「食べ過ぎた」「飲みすぎた」なんて方も多いのではないでしょうか?
追い打ちをかけるように2月はバレンタインデーをきっかけに、チョコレートや甘いものを口にする機会が増える季節ですね。
実は当院の歯科医師や歯科衛生士もJR名古屋高島屋で毎年開催されるAmoure de Chocolat(アムール・デュ・ショコラ)を楽しみにしており、すでに数回足を運んでいるスタッフもいます!
一方で、
「ダイエット中だから甘いものは控えている」
「トレーニングをしているので、食事管理には気を使っている」
という方も多いのではないでしょうか。
患者さんだけでなく、知人からも
「チョコは、むし歯になりますよね?」
「ダイエット中でも食べていい甘いものはありますか?」
といった質問をよく受けます。
結論からお伝えすると「甘いもの=むし歯になる」という単純な話ではありません。
歯科的に本当に重要なのは、糖の“量”そのものよりも、食べ方とお口の中に残っている“時間”です。
今月の歯科医師ブログでは、甘いものを楽しみたい方はもちろん、トレーニングやダイエット中の方にも役立つ視点で、むし歯のメカニズムと対策を解説していきます。
むし歯は「糖 × 時間 × 酸性環境」で進行する
むし歯は、次の3つの条件が重なることで進行します。
- 糖分(炭水化物を含む)
- むし歯菌(主にミュータンス菌)
- お口の中が酸性になっている時間
この考え方は、現在の歯科医学でも基本となっているものです。
※補足※
より正確には、う蝕とは、頻回の発酵性炭水化物摂取により、歯面バイオフィルムの生態学的バランスが酸産生・酸耐性型へとシフトし、その結果として酸性環境が持続し、歯質の脱灰が再石灰化を上回ることで進行する慢性疾患です。
私たちが糖を含む飲食物を摂取すると、お口の中にいるむし歯菌がそれをエサにして酸を産生します。
その結果、歯の表面のエナメル質からミネラルが溶け出す現象が起こります。
これを「脱灰(だっかい)」といいます。
唾液は「最強の天然予防システム」
一方で、私たちの唾液には非常に重要な役割があります。
- 酸性に傾いたお口の中を中和する
- 溶けかけた歯を修復する再石灰化を促す
つまり、酸性状態が一時的であれば、歯は自分で回復できるのです。
しかし、
- ダラダラ食べ続ける
- 間食が多い
- 口呼吸や薬の影響で唾液が少ない
といった状態が続くと、再石灰化が追いつかず、脱灰が優位になり、むし歯へと進行します。
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むし歯リスクを左右するのは「何を食べたか」よりも
「どれくらい長く酸性環境が続いたか」
これが基本的な考え方です。
チョコレートでも「虫歯になりやすさ」は違う
実は、同じチョコレートでも種類によって虫歯リスクは大きく異なります。
むし歯リスクが高くなりやすいチョコレート
- 歯に強くくっつきやすいチョコ
- 砂糖や水あめ(異性化糖)が多く使われているもの
これらは、
- 歯に残りやすい
- 酸性環境が長く続きやすい
という特徴があります。
比較的、むし歯リスクが低いとされるチョコレート
- 高カカオチョコレート
- ナッツ入りで噛みごたえのあるチョコ
特に高カカオチョコレートに含まれるカカオポリフェノールには、ミュータンス菌の増殖を抑える可能性や、歯垢の形成を抑制する可能性が報告されています。
もちろん、高カカオチョコが「虫歯予防食品」というわけではありません。
しかし、虫歯リスクを下げられる可能性があるチョコレートを選ぶというのも面白そうじゃないですか?
トレーニー・ダイエッター向けバレンタインチョコの選び方・考え方
トレーニングやダイエットに取り組んでいる方ほど、
「甘いもの=悪」
と考えてしまいがちですが、歯科的にも栄養学的にも“ゼロにすること”が最善とは限りません。
ポイントは、血糖値・栄養・歯への影響を考えた“選び方”です。
チョコレートを選ぶときのポイント
トレーニー・ダイエッターの方が意識したいのは、次の点です。
- 砂糖が主原料になっていないか
- カカオ含有量が高いか
- 噛みごたえがあり、唾液がしっかり出るか
歯科的に見ても、「歯にくっつきにくく、短時間で食べ終えられるもの」は、虫歯リスクが比較的低い傾向があります。
その意味でも、高カカオチョコレート(70%以上)ナッツ入りチョコレートは、
- 血糖値の急上昇を抑えやすい
- 咀嚼回数が増えて唾液が出やすい
- 歯に残りにくい
という点で、バランスの良い選択と言えるでしょう。
トレーニング中の「補食チョコ」はここに注意
最近は、
- 高たんぱくチョコ
- プロテイン入りチョコバー
といった商品も増えています。
一見ヘルシーに見えますが、歯科的には、歯にくっつきやすくないか、砂糖や水あめが使われていないか、長時間ちびちび食べていないか、といった点に注意が必要です。
特に、トレーニング中や仕事中に少しずつ食べ続けるという習慣は、歯にとっては要注意。
補食として取り入れる場合は、
- 食べる時間を決める
- 食後やトレーニング前や後にまとめて摂る
- 食べた後は水で口をゆすぐ
といった工夫をおすすめします。
「歯にやさしい」手作りバレンタインチョコのポイント
せっかくなら、
歯にも体にもやさしいチョコレートを手作りしてみるのも良いですね。
歯科医師の視点から見た、「むし歯リスクを抑えやすい手作りチョコ」のポイントをご紹介します。
ポイント① 砂糖を減らし、素材の甘みを活かす
白砂糖をたっぷり使ったチョコレートは、歯に残りやすく、酸性環境が長く続きやすくなります。
代わりに、
- 高カカオチョコをベースにする
- ナッツやカカオニブを加える
- 甘味は控えめにする
といった工夫がおすすめです。
※はちみつやメープルシロップも「糖」であることに変わりはないため、使う量や食べ方には注意しましょう。
ポイント② 噛みごたえをプラスする
歯科的に重要なのは、よく噛むこと=唾液を出すこと。
ナッツ類(アーモンド・くるみなど)や、ドライフルーツを少量加えることで、咀嚼回数が増えて、唾液分泌が促されるため、酸の中和・再石灰化が進みやすいといったメリットが期待できます。
ポイント③ 「食べるタイミング」までセットで考える
どんなに工夫したチョコでも、ダラダラ食べ続けてしまえば虫歯リスクは上がります。
手作りチョコを楽しむ場合も、食後のデザートとして、トレーニング後の補食として、コーヒーやお茶と一緒に短時間でと、いった食べ方を意識してみてください。
甘いものは「敵」ではありません。
むし歯予防というと、「甘いものは控えましょう」で終わってしまいがちですが、それでは長続きしません。
- 何を選ぶか
- いつ、どう食べるか
- 食後にどうケアするか
この3つを少し意識するだけで、甘いものを楽しみながら、むし歯リスクを下げることは十分可能です。
バレンタインのチョコレートも、“我慢”ではなく“工夫”で楽しんでいきましょう。
【砂糖・バター不使用ブラウニーのレシピ】
折角なので、当院の管理栄養士さんにも監修してもらったレシピをご紹介します!
管理栄養士さんからのコメント
「ラカント初め買ったんですけど高かったです(笑)」
「私は高カカオより甘いチョコが好きです!」との事でした。
材料(18cm角型)
- カカオ70%チョコレート:120g
- ギリシャヨーグルト(無糖):80g
- ラカントS:50g
- 塩:ひとつまみ
- 全卵:2個
- A薄力粉:70g
- Aココアパウダー:20g
- Aアーモンドプードル:20g
- ナッツ:30g
作り方
- チョコレートを湯せんで溶かす。
- ギリシャヨーグルトを加えて泡立て器で混ぜる。
- 溶いた卵液を数回に分けて加え、混ぜる。
- ラカントS、塩を加えて混ぜる。
- Aを合わせてふるいゴムベラで切るように混ぜる。
- クッキングシートを敷いた型に生地を流し、ナッツをのせる。
- 170度に予熱したオーブンで25~30分焼く。
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このレシピは砂糖不使用ですが、食べ過ぎには注意しましょう。
また、食後に水やお茶で口をゆすぐだけでも、虫歯リスクは大きく変わりますが、歯みがきを心がけましょう。
まとめ|甘いものを楽しみながら、歯を守るために
「チョコレート=むし歯になる」
そう思って、甘いものを我慢している方も多いかもしれません。
しかし、歯科的に大切なのは、甘いものを食べるかどうかではなく、どう付き合うかです。
- 何を選ぶか
- いつ、どのくらいの時間で食べるか
- 食後にどうケアするか
この3つを少し意識するだけで、甘いものを楽しみながら、むし歯リスクを下げることは十分可能です。
バレンタインのチョコレートも、ダイエットやトレーニング中の補食も、「我慢」ではなく「工夫」で続けていきましょう。
もし、
- 甘いものを控えているのにむし歯ができやすい
- 知覚過敏や歯のしみが気になる
- 食生活に合ったケア方法を知りたい
と感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。
りお歯科クリニックでは、患者さん一人ひとりの生活習慣や食事内容に合わせた、無理のない予防・ケアのアドバイスを大切にしています。
よくある質問Q&A
チョコ・むし歯・歯磨きの疑問に歯科医師が回答
Q1. 高カカオチョコなら、たくさん食べても大丈夫ですか?
A. いいえ。
量や食べ方には注意が必要です。
高カカオチョコは砂糖が少なめで、歯にくっつきにくい傾向がありますが、糖質を含む食品であることに変わりはありません。
- 食べる時間を決める
- ダラダラ食べない
- 食後は口をゆすぐ
この基本を守ることが大切です。
Q2. ダイエット中の間食や補食は、むし歯になりやすいですか?
A. 食べ方次第でリスクは大きく変わります。
少量でも、長時間ちびちび食べたり飲んだりすると、お口の中が酸性の状態でいる時間が長くなります。
補食は
- 食べる時間を決める
- 食後やトレーニング前や後にまとめて摂る
この意識だけでも、むし歯リスクを下げることができます。
Q3. プロテインやEAAは歯に悪いですか?
A. 成分と飲み方に注意が必要です。
フレーバー付きのものには、砂糖・人工甘味料・酸味料が含まれている場合があります。
特に注意したいのは、長時間ちびちび飲み続けること。
飲み終わった後は、水やお茶で口をゆすぐ習慣をつけましょう。
Q4. 甘いものを食べたら、すぐ歯を磨いたほうがいいですか?
A. すぐ磨くより、お口をゆすいでからがおすすめです。
糖や酸を摂った直後は、歯の表面が一時的にやわらかくなっています。
おすすめの流れは、
- 食後は水やお茶で口をゆすぐ
- その後、やさしく歯磨き
特に酸味のある飲食物の後は少し時間を空けて欲しいですが、この流れを意識してみてください。
Q5. 手作りチョコなら、むし歯になりにくいですか?
A. 市販・手作りに関わらず「食べ方」が一番大切です。
手作りチョコは素材を選べるメリットがありますが、
- ダラダラ食べる
- 寝る前にそのまま放置する
と、むし歯リスクは高くなります。
「食べるタイミング」と「食後のケア」まで含めて考えましょう。
Q6. 甘いものを楽しみながら、歯を守る一番の方法は?
A. 定期的なチェックと、自分に合ったケアです。
セルフケアだけでは防ぎきれない汚れやリスクもあります。
- むし歯や初期トラブルの早期発見
- 食生活に合わせたブラッシング指導
- フッ素などの予防ケア
を組み合わせることで、歯を守りやすくなります。