院長の折戸です。いつも当院を大切にしてくださってありがとうございます。
歯科医院で行われているメインテナンスに、どうしてたくさんの人が毎日のように来院されるのか?
その意味を皆さんに知っていてもらいたいと思い歯科衛生士のスタッフたちがこのページを作りました。
とても大切な内容で、皆様にとっても知っていることは良いことだと思います。
少し長くなりますが、是非一度読んでいただきたいと思います。
メンテナンスをする人・しない人
定期検診に行っている人と、定期検診に行ってない人で、80歳の時点で残っている歯の本数がどれくらい違うかご存じですか?
定期検診に行っている人・・・平均15.7本
定期検診に行ってない人・・・平均6.8本
約9本も差が生まれてしまいます。
お口の中の写真が続きますので、苦手な方は飛ばしてお読み下さい。
この方は97歳で28本全て残っています。若いころから定期的に歯科医院に通われていたそうです。
この方は、以前に初診でいらっしゃった50代の方です。歯石の量も多く、何回かメイテナンスに通っていただきながらケアをしておりました。
ですが、お仕事が忙しく何年間かケアに来られなかったため、歯を失う結果になりました。
歯を失うと、見た目だけでなく、食事をする楽しみを感じられなくなったり、会話をする時に不便を感じたりします。
入れ歯を入れても、硬いものは噛めないですし、滑舌も悪くなります。
ですから、将来入れ歯にならないように、少しでも多くの歯を残すために、歯科医院に定期検診に通っていただいた方が良いと私たちは思うのです。
日本人の歯を失う原因の第一位は「歯周病」です。「虫歯」で歯を失うより多いのです。
歯周病の原因
では、歯周病の原因とは、なんでしょう?
20世紀には、歯周病の原因は歯石だと考えられていました。
ですが、21世紀の現在、歯周病の原因はバイオフィルム(プラーク)の中の細菌だというのが常識になってきました。
バイオフィルムというのは、歯の表面についている細菌の集まりのことを言います。
これは目には見えないもので普段の歯ブラシでも除去することが難しく、完全に除去することは不可能だとされています。
ある検証では歯ブラシの毛先で20ストロークすれば、ほぼ、除去できることが分かりましたが、すべての面を隙間なく20ストロークするには、
歯牙28本×5面×20ストローク=2800ストローク
1秒に1ストロークだとすると
2800ストローク÷60=約47分
47分間×1日3回もブラッシングに時間を費やすのは、難しいですよね。
そして、歯と歯の間は歯ブラシで磨くことが出来ません。
歯石の表面は粗造であるため、バイオフィルムがつくられる最適な場所になっています。
歯石のほかに、「形のあっていないかぶせもの、入れ歯、矯正装置、歯列不正、磨き残し」もバイオフィルムをつくる促進因子です。
では、歯周病は完治するのでしょうか?
答えは、NO!!! です。
理由① バイオフィルム
またバイオフィルムという言葉がでてきましたね。バイオフィルムは一度除去しても3日でまた作られます。
そして頑固!バイオフィルムは仲良し集合住宅を建設しています。菌が増殖して歯肉の中を住みやすい環境にしてしまいます。
そして、バイオフィルムの中には、抗体はもちろん、殺菌液もほとんど侵入できません。
理由② 歯周病菌は歯肉の細胞に侵入できる
20年前までは歯周病菌が歯肉の細胞の中に侵入するなど考えられていませんでした。
20世紀末、細菌が三次元的に観察できるようになり、歯周組織の細胞内部にまで侵入していることがわかったのです!
歯周組織の中が菌にとって住みやすい理由は、適度な温度と水分、大気からの遮断、細胞内の栄養素を利用できるからなのです。
細菌に侵入された細胞の機能は被害を受けて、歯周組織は破壊されていきます。
歯周病は完治できませんが、ハレや出血、炎症を抑え、骨吸収の進行を抑制し症状を安定させることができます。
患者様の症状が落ち着いても油断大敵、歯周病の再発はよくあることです。
患者様のお口の中を生涯メインテナンスするのが私たち歯科衛生士の使命です!!
メインテナンスで何を行うのか
【スケーリング】
歯の表面にこびり付いた歯石は歯ブラシでは取り除くことが出来ません。そのため専用の機械を使って歯石やバイオフィルム(プラーク)を除去します。
歯石除去は歯周病に対する治療で、歯石が多いと、バイオフィルムの増殖を引き起こし、それが原因で歯周病が進行します。そのため歯石取りが重要なのです。
【PМTC】
PМTCとは”Professional Mechanical Teeth Cleaning”の頭文字を取った言葉で日本語では「プロによる専用の道具を使ったお掃除」という意味です。
歯の表面を研磨材で研磨し、バイオフィルムを除去します。
【歯ぐきのマッサージ】
歯ぐきの血流が低下すると、歯ぐきに必要な栄養や酸素が不足したり免疫がうまく働かなくなったりして歯周病が発生しやすくなります。そのため優しく刺激を与えることによって血流が良くなり、唾液腺を押さえることによって唾液量が増え、虫歯や歯周病の予防や改善に役立ちます。
セルフケア
歯科医院での指導に基づいて自宅で行う歯磨きやフロスなどの日々のケア
プロフェッショナルケア
歯科医院で行う歯石取りや歯面研磨などの自宅では出来ない専門的なケア
セルフケアで取れる汚れ
・プラーク
歯の表面や歯茎の境目、歯と歯の間に付着している白いネバネバしたかたまりのことです。プラークの中にはたくさんの細菌が住み着いており、このたくさんの菌の中に虫歯や歯周病の原因となる菌が生息しています。
歯の表面に強く付着しているため洗口では取れませんが、歯ブラシやフロスで取ることが出来ます。
・食物残渣
食事後一時的に歯と歯の間などに停滞した食べ物のかすのことです。
ほとんどは、舌や唇、唾液などで自然に取れるか、洗口で除去することが出来ます。
・マテリアルアルバ
白色またはクリーム色をした柔らかい物質のことで、白血球や細菌、唾液などを含んでいます。強い洗口やスプレー洗浄で除去することが出来ます。
セルフケアで取れない汚れ
・歯石
プラークに唾液由来のカルシウムが沈殿してできた石灰化物のことです。
歯石があるとそこにバイオフィルム(プラーク)がたまりやすくなり、歯周病の原因となります。
歯ブラシでは落とすことができないためプロフェッショナルケアで除去する必要があります。
・ペリクル
歯の表面に形成される透明な薄い膜のことです。細菌は含まれていないがプラーク形成の足がかりとなります。歯ブラシでは落とすことができないため歯面研磨などのプロフェッショナルケアで除去する必要があります。
・色素沈着(ステイン)
紅茶、コーヒー、緑茶などの飲食物やタバコのタールなどの色素が歯面上に沈着したもの。ペリクルに沈着することが多いため、歯ブラシでは落とすことがで出来ず、歯面研磨などのプロフェッショナルケアで落とす必要があります。
歯周病が進行すると、糖尿病、狭心症、心筋梗塞、誤嚥性肺炎など全身の病気を悪化させることが分かっています。
特に歯周病と糖尿病の関係はとっても大きいのです!!!
糖尿病を患う方は歯周病になりやすく、一方で歯周病になると血糖コントロールが悪くなると言われています!
定期検診に通い、口腔内の健康を保つことで、身体の健康も保てます。
そうすることで、生涯にかかる医療費を減らせる、ということも分かっています。
定期検診は1回の健診で、3,000円ほどで受診できます。(健康保険3割負担の場合)
ですから、定期検診は将来の自分の体への先行投資と言えるのです。
メタボリックドミノ
ご存知ですか?メタボリックドミノ
生活習慣の乱れから始まり症状が悪化すれば、脳卒中や心筋梗塞・心不全、腎不全などの重い病気に至ってしまうことを「メタボリックドミノ」と言います。
一番最初のドミノは虫歯や歯周病と言われており最初のドミノを倒さないためにも、メンテナンス・歯石取り・歯周病ケアにお越しいただきたいのです。
歯が一番
シニア世代の皆さんへのアンケートによると、失って後悔しているものの第一位は「歯」だそうです。
「もっと大切にしておけばよかった」と失って初めて皆さん気付くのです。
二位は「髪の毛」、三位は「体型」だそうです。
若いころは「歯」の大切さに気付きにくいですが、失って後悔していては遅いのです。
ですから、その知識のある方たちは定期的に歯科医院に来院され、定期検診を受けられているのです。
歯周病治療、歯周病安定期のケアには、毎日のケアがとっても大切です。
歯磨きの仕方があっているのか不安に思っている方、歯ブラシの種類が多くてどれにすれば良いのか、または、歯磨き粉もどれが歯周病ケアにあっているのか、今は種類もたくさんあり困ってしまいますよね。
歯科衛生士があなたのお口の中にあったものをお伝えします!お気軽にご相談くださいね!
「りお歯科クリニック」に関わってくださった全ての患者様が将来にわたって、健康に楽しく幸せに過ごしていただきたいと、私たちは願っています。
うっかりメインテナンスの機会を逃してしまった方々。
ご自身を大切にしたいと思われている方々。
ぜひ一度ご連絡下さいませ。
高度な技術と知識を持って私たちは皆様をお待ちしています。